一人暮らしの最期
「みどりのおばさん」という呼び方は今はしないけれど、小学生の登下校の安全を守ってくれる方がいます。たいてい区のシルバー人材活用に登録されている方です。
先日この「みどりのおじさん」が亡くなりました。二人体制で、毎日交代で、細い路地のわりには車の往来が頻繁で危ない交差点に立ってくださっていました。自転車で通勤する日も、電車で通勤する日もわたしはそこを通るので、毎朝「おはようございます。きょうもお世話様です。」とあいさつを交わし、時々一言二言の立ち話をしていました。
ちょっと前に、入院するのでお休みする、と連絡があり、中ボスがお見舞いに行ってきたばかりでしたが、亡くなって数日後に、噂という形で、亡くなったらしいという情報が職場に届きました。というのも、このみどりのおじさんは、身寄りの無い一人暮らしだったそうで、お通夜も葬儀もなしで、役所の方がお宅の片付けをしたというのです。役所に問い合わせてわかったのですが、なんとも寂しい気持ちになりました。
先日、全校朝会の後で、大ボスがそのみどりのおじさんとのエピソードを話し、全校児童で黙祷をしてご冥福を祈りました。
植物が好きだったおじさんは、数年前にシロバナタンポポという白い花をつけるタンポポを見つけその綿毛を学校にもってきてくださり、今は、毎年春になると学校で花をつけています。また、職場のロッカーを整理したら、花や気をうたった俳句をメモした紙が何枚も出てきたそうです。俳号は「緑道」だったそうですが、これにもわたしたちの職場との縁を強く感じました。本名道夫さんの「道」と、植物を愛したから「緑」をつけたのだと思いますが、グリーンロードとはわたしたちの学校の裏土手を地域の方々が整備して作ってくださった小道の名前なのです。そのグリーンロードは校舎改築に伴いこの三月でなくなってしまいます。つい先日グリーンロードお別れ会をしたばかりです。
子どもたちも校長先生からこの話を聞いてしんみりしていました。病室を中ボスが訪ねたとき、「千の風」が流れていて、「この歌のように、この病気でさいごかもしれないなあ、それでいいと思っているんだ」とおっしゃっていたそうです。心からご冥福をお祈りします。
職場で「わたしに何かあったら、あなたがロッカーを一番に開けてね」とか「◯◯の書類はここに入ってるから」なんて笑いながら話すことがあるけれど、身寄りがなくて一人暮らししている人の最期は、他人事ではないです。区で雇われていた人なのに、その仕事先にも連絡をくれないものなんだなあ、という事も寂しかったです。
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コメント
せつないお話ですね、でも人ごとではないので考えさせられました。
緑道さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
投稿: KEEMYAN | 2009年2月22日 (日) 19時59分